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研究会のご案内

会長挨拶

産学連携炭素材料研究会は、炭素材料第117委員会が2022年3月末日をもって、日本学術振興会産学協力研究委員会における設置期限を迎えましたことを契機として、2022年5月に発足しました。産学連携炭素材料研究会は、工業材料として重要不可欠な炭素材料の基礎科学及び基礎技術の研究調査、並びに製品開発に従事する学界と産業界の研究者・技術者等が協力し、炭素材料に関わる分野の学問及び技術の発展に寄与することを目的としています。

当研究会の前身である日本学術振興会産学協力研究委員会炭素材料第117委員会(以下、117委員会)は、昭和23年(1948年)に設置された日本学術振興会第10常置委員会第117小委員会(電気用炭素材料に関する研究会)を起源として、70年を超える歴史ある専門委員会でした。117委員会は、ほぼ同時期に発足した炭素材料学会(発足時は「炭素材料研究会」)とともに日本の炭素材料研究・産業の発展に大きく貢献してきました。117委員会は、黒鉛電極、炭素繊維、活性炭、ブラシなどの工業炭素製品からグラフェン、カーボンナノチューブのような次世代材料に至るまで広範囲な炭素材料を対象とし、材料自身の基礎研究から実用化の取り組みまでに関する情報の交換と共有を産学一体で行う場として活動を行ってきました。今回、産学連携におけるその優れた事業内容を継承すべく、産学連携炭素材料研究会が発足するに至りました。

近年の日本における炭素材料研究では、温室効果ガスの増加による気候変動問題を背景に、炭素繊維、リチウムイオン二次電池、キャパシタ、燃料電池などのクリーンエネルギー技術に不可欠な素材として、新規炭素材料に関する研究開発が産学問わず活発に行われています。また、太陽光発電用シリコン等を含む半導体製品の製造工程や、今後の鉄鋼分野の二酸化炭素排出削減に不可欠な電炉用黒鉛電極に至るまで、温暖化対策技術を支える主力工業製品としても、炭素材料の重要性はさらに高まるばかりです。その一方で、炭素製品は、石油・石炭系重質成分など、主に化石資源を原料として製造され、その製造過程においては1000℃を超える高温処理が必要なものも少なくありません。二酸化炭素排出削減が「脱炭素」と表現され、化石資源を原料とする製品やエネルギー多消費産業において大きな課題となる中、すでに製造方法が確立された工業製品に関しても、原料転換や製造プロセスの大幅変更が求められれば、また新たな科学的知見が必要になることから、産学連携のプラットフォームが今後益々重要になるはずです。

117委員会の長い歴史の中で培われた優れた知見・ノウハウを継承しつつ、炭素材料に関わる学界と産業界の研究者・技術者が新しい時代の産学連携を生み出すための場を提供することが、産学連携炭素材料研究会の使命だと考えています。117委員会がそうであったように、炭素材料に関わる分野の学問及び技術の発展を目的として、自主的に集い、自由闊達な議論を行うことが、産学連携炭素材料研究会の活動の原動力になります。その趣旨にご賛同いただける方々の積極的なご参加をお待ちしております。

産学連携炭素材料研究会
会長 羽鳥浩章